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  • 2010年11月30日 [ コラム ]

    電子戦国時代

     今、世界の電子産業は中国市場を巡って戦国時代に突入した。
    それはこれまでのような同業他社との競争だけではない。材料メーカーから部品加工メーカー、組立てを行うEMS(製造受託)、最終製品のセットメーカー、さらには流通を担う家電量販店に至る、バリューチェーンの全てのプレーヤーを巻き込んだ大競争なのだ。

    例えば、iPhone、iPadで躍進著しいアップル社。
    組み立ては台湾のEMS,フォックスコンに委託しているが、部品仕様の決定権を握ることによって、部品メーカーと組んで「EMSを挟み撃ち」にして主導権を確保している。
    対するEMSも負けてはいない。部品メーカーを取り込むことによって垂直統合の製造会社へと動いている。
    そうなるとセットメーカーは単なる企画会社となる。
    さらにはEMSが家電量販店と組んで、「セットメーカーを中抜き」する動きまである。

    上流から下流まで巻き込んだ利益の取り合い、支配権の争奪戦なのだ。
    こうしたダイナミックな動きの中で、日本の部材メーカー、セットメーカーの影は薄い。
    むしろ激流に翻弄されている。
    勢力図が大きく塗り替わろうとしている中でどういうポジションを確保できるか、正念場である。

  • 2010年10月24日 [ コラム ]

    自治体ビジネス

     自治体は今、税収不足で予算削減に追い込まれているところが多い。そこで自治体としても「どう稼ぐか」が問われる。今後成長が見込まれる海外の水ビジネスの分野で、いくつかの自治体がこれまでの経験を活かして、企業と提携する動きもその一つだ。
    そうした自治体にとって隣国での動きは大いに参考になる。

     韓国のソウル市では、ITを駆使した公共交通システムが秀逸だ。 Tマネーと呼ばれるCPU内蔵の最先端スマート・カードで、GPSとつながっている。
    その結果、リアルタイムで乗客情報が管理できるので、渋滞対策など効率的な運行システムができる。そしてこの先進的なシステムを海外の都市に売って稼いでいる。
    その収益で、かつて補助金漬けだった赤字路線を維持している。
    赤字バス路線の維持に苦吟している日本の自治体では考えられない姿だ。
    今、はやりのスマート・シティでも済州島でのプロジェクトは米国市場への進出を念頭においてイリノイ州と提携している。さらにここで国際会議も開催して、海外PRをする戦略だ。
    日本の自治体でもスマート・シティの取り組みがなされている。
    そこで必要なのは、こうした海外へのビジネス戦略の発想ではないだろうか。

  • 2010年09月26日 [ コラム ]

    脱・また来た道~「総合特区」を活かすことができるか~

     地域活性化の目玉政策として総合特区がスタートしようとしている。6月の新成長戦略に盛り込まれで、提案を募集した。これを受けて、全国の自治体が手を挙げている。
    例えば、愛知県は国際戦略特区として、航空宇宙産業と次世代自動車の特区を提案するようだ。

    これまでも構造改革特区など類似の制度はあった。しかし結果はいずれも期待はずれであった。
    もちろん霞が関が規制緩和に消極的であることもあったが、もっと根本的な問題が提案者側にもあるようだ。

    申請者が自治体で、しかもほとんどが単独、個々に申請している。
    県境などの行政区画区切って、それぞれの自治体が部分最適を目指しているのだ。しかもそのメニューは霞が関の縦割りをそのまま持ち込んだ発想を脱し切れないでいる。これは自治体内では霞が関の縦割り毎に部局が分断されているからだ。

     これでは地域挙げての、「総合的」な特区を期待できない。そこで、今回は制度上は自治体以外に民間法人、NPO等も提案できること、共同提案も“可能”としているが、単に“可能”としただけでは解決にならない。自治体には「自分たちだけで」という根深い意識が蔓延しているからだ。
    この「総合特区」制度を活かすには、自治体の根本的な意識が変わらなければ、「また来た道」を歩むことになりかねない。いつものように自治体がこれまでの言葉を散りばめるだけだ。

     特に国際的な戦略特区を目指すためには、①海外の動向を見据えた大局観と、②優秀な人材、企業を引き付ける戦略性が鍵となる。
    知的人材を引き付ける大学や海外との産業連携のプレーヤーたる経済界の果たす役割は大きい。単に自治体が絵を描いてできるものではない。
    国際競争力の上では、地域の有力大学もプレーヤーになっているか、経済実態に応じて複数県で共同提案するなど、広域経済圏としての取り組みになっているかがポイントとなろう。

     例えば、先の愛知県の例においても、航空機産業や自動車関連産業の広がりを考えれば、名古屋市のみならず、岐阜県、三重県とも共同して、グレーター・ナゴヤとして提案すべきだろう。
    そうでなければ国際的な競争において意味を大きく減殺される。
    また外国企業の研究拠点や外国人研究者の誘致も重要である。地域の共同経営者であるべき中核大学や経済団体も共同提案者となるべきであろう。

    国においては、そういう提案こそ優先的に取り上げて、この制度の実効を挙げなければ、今までと同じ轍を踏むことになる。

  • 2010年09月13日 [ コラム ]

    スマート・シティ考

     スマート・シティが世界的に大きなうねりになっている。
    エネルギー、交通などのトータル・システムの社会実験を都市を舞台に繰り広げられている。日本でも4地域が選定された。
    そこでは環境分野の最先端技術のショーケースとなるべく、多数の企業が業界の壁を越えて連携しようとしている。
    自治体としてはこの実証実験で蓄えたノウハウを海外に輸出することも視野に入れている。海外の都市へのシステム輸出の発想だ。

     そのために必要なことで今欠けていることがある。1市だけでやろうとせず、隣接市も巻き込んだ面的広がりを持つことだ。特に電気自動車も含んだ社会実験には不可欠だ。
    あるプロジェクトでは充電設備の設置場所が市の行政区画内に限られている結果、市内の過半を占める山林地帯にまで設置されているという。
    理由は市役所の支所があるからというから唖然とする。
    むしろ人々が近隣市と高速道路で行き来する実態に合わせた実験でなければ海外に売れるモデルにはならない。
    例えば、高速道路の壁面を活用した太陽光発電、それにつながる充電設備をサービスエリアに設置するなど、道路を活用したモデルもポイントとなる。
    そのためにも近隣の自治体との連携は欠かせない。

  • 2010年08月09日 [ コラム ]

    産業の大地殻変動 (8月1日)

     日本経済を支える2大産業である自動車産業と電機産業で大きな地殻変動が起きている。

     これまでの自動車産業は完成車メーカーを頂点とし、多くの一次,二次の部品メーカーがこれを支えるピラミッド構造であった。
    今、この構造が自動車のモジュラー化で揺らいでいる。部品同士の相互接続の標準化を武器に、エンジン駆動など基幹部品メーカーが主導権も持ち出したのだ。その典型が独のボッシュだ。
    ドイツ車だけでなく、中国、インドの自動車メーカーにも組み込まれている。まさにパソコンにおけるインテルの戦略だ。

     電機産業ではアップルの躍進が著しい。原材料、部品、組み立て、企画・マーケティングのサプライチェーンの中で、下流のセットメーカーが組み立ての中抜きをしながら、上流の部品の仕様をコントロールしようとしている。
    中国での組み立てを受け持つのは台湾企業のフォックスコーンだ。アップル以外にも、ノキア、HPなどグローバルな携帯電話、パソコンメーカーからも受託し、その規模55万人とも言われている。
    そのフォックスコーンも単なる組み立てから部品、部材メーカーに食指を伸ばそうとしている。ここに新たな垂直統合の流れが見て取れる。

     2大産業で起こっている、グローバルな規模での垂直統合の崩壊と形成。
    いずれも中国をはじめとする新興国市場の台頭に対する戦略が繰り広げられているのだ。
    この大きな地殻変動において残念ながら日本企業はいずれも主要プレーヤーになれていない。
    さてこれからどういう戦略でグローバル競争に勝ち残るか。まさに今、正念場である。

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