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コラム

  • 2011年07月08日 [ コラム ]

    エネルギー政策は複眼的に  (7月8日毎日新聞掲載)

     原発の再稼働を認めるか、原発を抱える地方自治体が揺れている。仮に再稼働できないと今後1年で国内発電量の3割が喪失する。これは浜岡原発の停止要請で当然予想された事態で、総理の責任ある対応が不可欠だ。

     

     これまでの原発政策は抜本的に見直し、同時に再生可能エネルギーへのシフトを最大限加速すべきだろう。そもそもエネルギー政策は安全性の確保を大前提として、複数の連立方程式の解を求めるものだ。 責任ある政策にはそうした複眼的視点が必要である。

     

    第1に、エネルギーの安定供給。これまでは石油危機のような海外にエネルギーを依存するリスクを前提に考えてきた。今後は災害など国内有事にも強い供給体制も必要だ。大規模集中電源に依存するリスクは今回体験した教訓である。「分散型」がこれからのキーワードだ。

    そういう観点で、各地で取り組みが始まっているスマートシティに注目したい。この地域でも愛知県豊田市で太陽光発電付き住宅、電気自動車、スマートグリッドなどを結びつけた社会実験がある。今後これらも点(都市)から面(地域)への広がりが重要になる。場合によっては、県境も越えて「グレーター・ナゴヤ」での連携も考えられる。

    例えば、この地域の強みである高速道路網を活用してはどうだろう。高速道路で太陽光発電をし、サービスエリアで電気自動車の充電を行い、それらを直流超電導でつなげる。その結果、サービスエリアが自立電源を持った災害拠点にもなる。海外にもアピールできる、夢のあるプロジェクトで元気になってもらいたい。

     

     第2に、経済性。日本の電力料金は国際的に割高だ。今後、原子力を火力発電で代替すると2,3割上がるという。再生可能エネルギーだとさらに割高になる。もちろん技術開発と量産化でコストは下がるが、あくまで将来への「期待」である。電力の供給不安と電力コスト問題に直面し、厳しい国際競争にさらされている企業経営者からは悲鳴が聞こえてくる。海外移転による産業空洞化の危機は、今そこにある「現実」なのだ。政策にはこうした「時間軸」も欠かせない。高い法人税、FTA(自由貿易協定)戦略の出遅れ、生産拠点の分散化圧力など国内立地に逆風が吹く中、日本経済を支えるこの地域のもの作りを維持できるか。その正念場に来ているとの危機感が必要だ。