中部大学 中部高等学術研究所 教授
多摩大学大学院 客員教授
PHP総研 コンサルティング・フェロー
元 経済産業省(中部経済産業局長など)
昨年9月より中部大学 中部高等学術研究所 教授に就任しました。大学とともに、シンクタンク、企業、自治体などの顧問、アドバイザー、そして講演などもさせていただきながら、それを糧に転換期をむかえたこれからの地域、日本を考えていきたいと思います。
記事・論文 2010年8月6日
日本経済を支える2大産業である自動車産業と電機産業で大きな地殻変動が起きている。
これまでの自動車産業は完成車メーカーを頂点とし、多くの一次,二次の部品メーカーがこれを支えるピラミッド構造であった。今、この構造が自動車のモジュラー化で揺らいでいる。部品同士の相互接続の標準化を武器に、エンジン駆動など基幹部品メーカーが主導権も持ち出したのだ。その典型が独のボッシュだ。ドイツ車だけでなく、中国、インドの自動車メーカーにも組み込まれている。まさにパソコンにおけるインテルの戦略だ。
電機産業ではアップルの躍進が著しい。原材料、部品、組み立て、企画・マーケティングのサプライチェーンの中で、下流のセットメーカーが組み立ての中抜きをしながら、上流の部品の仕様をコントロールしようとしている。中国での組み立てを受け持つのは台湾企業のフォックスコーンだ。アップル以外にも、ノキア、HPなどグローバルな携帯電話、パソコンメーカーからも受託し、その規模55万人とも言われている。そのフォックスコーンも単なる組み立てから部品、部材メーカーに食指を伸ばそうとしている。ここに新たな垂直統合の流れが見て取れる。
2大産業で起こっている、グローバルな規模での垂直統合の崩壊と形成。いずれも中国をはじめとする新興国市場の台頭に対する戦略が繰り広げられているのだ。この大きな地殻変動において残念ながら日本企業はいずれも主要プレーヤーになれていない。さてこれからどういう戦略でグローバル競争に勝ち残るか。まさに今、正念場である。
菅新内閣が発足した。政治ドラマとは別に、政策の行方が気になるところだ。まずこの新内閣が取り組む仕事は、間近に迫った参議院選をにらんだ戦略だ。鳩山政権の下でのばらまき批判を意識して、前向きの成長戦略をうまくアピールしようとしている。この成長戦略は鳩山政権下で検討されてきたものではあるが、打ち出すタイミングが新内閣発足直後となるのは幸運だ。特に戦略特区構想は、積極論者の仙石国家戦略相が内閣の要の官房長官として実現させていくだろう。地方でも大阪、福岡、愛知などで期待が高まっている。
問題はその中身だ。本当に「戦略的」なものにするためには、そもそも県単位の発想から脱皮する必要がある。これまでの構造改革特区は自治体毎の細切れで、広域性が欠如していた。これでは国際的な視野での戦略性は出てこない。東アジアでの地域間競争を考えた単位で取り組まなければならない。具体的には、関西は大阪、神戸、京都の三都市、北部九州は福岡県、福岡市、北九州市、グレーターナゴヤは愛知、岐阜、三重の三県がそれぞれ一つの経済圏のプレーヤーとして「毛利の三本の矢」になれるかである。場合によっては、北部九州は大分、グレーターナゴヤは浜松、飯田も入るだろう。県単位ではなく、県境をこえた複数の市町村の連携が重要な構成要素になる。形式的な行政単位ではなく、経済実態を見据えた体制で取り組まなければ競争力につながらないことにそろそろ気が付くべきだろう。
活動報告 2010年8月6日
全国の自治体職員など「公」を志す有志の集まり、「行政経営フォーラム」の例会が東京で開催されます。そこで「”人”から見た組織マネジメントと仕事」と題してお話します。休日に自腹で集まる意欲的な人々とお会いするので楽しみです。
活動報告 2010年6月28日
7月8日、東京で講演します。演題は「動き出す、地域の成長戦略」です。
主催 大和証券株式会社
場所 ザ・プリンスパークタワー、コンベンションホール
対象 全国の地銀の運用担当役員、信金のトップなど260名