技術至上主義の壁
2009年12月7日
今、日本の製造業にとって技術至上主義が大きな壁となっている。これまで日本企業は技術を磨き、高性能、高品質をめざす熾烈な開発競争に打ち勝ってきた。顧客の要求水準の高い日本をはじめ先進国市場が主戦場であったこれまでは、これが成功モデルであった。しかし中国など新興国が主戦場になりつつある今、それが逆に大きな桎梏になっている。生産コストを下げるために中国などに進出しても、同じ中国で生産する現地の中国企業に比べて生産コストは高い。日系自動車メーカーが調達する部品でも、日系の部品メーカーは中国の部品メーカーに比べて2~5割高く、その結果、完成車も割高になる。素材メーカーも製造設備が中国メーカーよりも高い。安全、環境などの高いレベルの要求水準にいったん合わせると、それを過剰スペックだとして性能を下げることはなかなかできない。社内でも技術者の強烈な抵抗に遭う。使用する原材料も中国メーカーよりも高品質なものを使っている。こうして結果的に価格競争力をなくしているのが各産業共通の現象だ。今後、これまでの技術至上主義を脱却して、グレードダウンする勇気をもてるか。日本の製造業とってそれが新興国市場でのカギになる。
*出所の記載がないものは新聞のコラムとして寄稿したもの
