鑑賞教育のすすめ
2004年12月17日
最近、各地の美術館で注目すべき動きがある。その一つが学校教育との関係である。かつてNYのメトロポリタン美術館を訪れた時のこと。小学校の先生が生徒20人を連れて絵画の前でやり取りしている。そっと近づいて耳を傍立ててみた。「この絵から何を感じる?」との先生の質問に、生徒が思い思いに発言している。最後まで名画の解説じみたことは先生の口から一言もない。美術館のアメリカ館に行くと、独立戦争時にジョージワシントンが小船でデラウェア川を勇壮に渡る場面を描いた大きな絵が掛かっている。その絵の前で小学生たちが先生から合衆国独立の話を聞かされて、目を輝かしている。こういう学校教育の一場面を見ていると、果たして自分たちは日本でこういう教育を受けてきただろうかとふと考えさせられた。美術館を学校教育でもっと積極的に活用することを是非考えて欲しいものだと思っていたところ、やっと最近になって「鑑賞教育」というものが注目されだした。子供たちのアートを味わう力、感性を養うことは将来の地域を支えるクリエイティブ人材を生み出すことにもなるのではないだろうか。美術館に将来の人材養成の機関としての役割を期待したい。
*出所の記載がないものは新聞のコラムとして寄稿したもの
