日航支援の別側面
2010年1月5日
日本航空の経営危機に対する資金支援が決まった。日本政策投資銀行(以下「政投銀」)の融資枠を2千憶円に倍増して当面の信用不安を払拭する。世間の耳目は日航の経営危機面に注がれている。しかし本件は別の視点からも見る必要がある。融資する側の政投銀の在り方だ。
政治的圧力があったかどうかは兎も角として、今回はまさに国の政策を遂行して、「最後の貸し手」としての存在感を示すことになった。これは今後、政投銀の完全民営化を阻止するうえで大きな意味を持ってこよう。昨年の法改正で小泉改革の象徴である完全民営化の路線は事実上見直しすることとなった。その結果、11年度末までに政府の株式保有(現在は100%)も含めてその在り方を検討する。完全民営化に反対する民主党政権が今回の件でも政投銀に対して国の関与を強めるのは自然であろう(但し、政投銀の側では株式会社としてのガバナンスの問題はあるが)。また元次官を副社長に送りこんでいる財務省の思惑も見え隠れする。政投銀の資金調達面でも郵貯を原資とする財政投融資が使われることによって、郵政民営化見直しと表裏一体の関係でもあるのだ。
本件をこうした視点で見ると、今は不明確な「政投銀の将来像」という日航救済策以上の意味を持ってくる。環境、エネルギー、技術など中長期の成長戦略を支えるような政策金融は今後ますます重要になってくる。それを政府保証さえ付ければ民間銀行でもできるという議論も乱暴で、完全民営化は行き過ぎであろう。また世界的な金融危機など危機対応の政策上の要請にも応えなければならない。問題は政府の恣意的判断をどう排除するかだ。今後、市場から撤退を突き付けられた個別企業まで国民の資産を使って延命することにならないよう注視しなければならない。
*出所の記載がないものは新聞のコラムとして寄稿したもの