細川昌彦 Masahiko Hosokawa

現在、中部大学 中部高等学術研究所 教授に就任しております。
大学とともに、グローバル企業、自治体などの顧問、アドバイザー、そして講演などもさせていただきながら、それを糧に転換期をむかえたこれからの地域、日本を考えていきたいと思います。

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  • 2017年05月26日 [ コラム ]

    「文書」の真偽が本質なのか?加計学園問題

    加計学園問題がワイドショー化してきたようだ。この問題を巡るメディアのコメントを聞くと。もっと霞が関の現場を理解したコメントでないと誤解が蔓延するなぁ、との思いを強くする。

    文科省が作成した文書に「「総理のご意向だと聞いている」と内閣府から伝えられた」との記述があったのが発端だ。どうやらこの文書は文科省の担当者が内閣府との交渉状況を次官以下、文科省内部で報告するために作成した内部メモのようだ。役所では日常的に行われる仕事だ。確かに「文書」には違いないが、一般の人が思い描く「公文書」とはわけが違う。役所として責任あるチェックをしたものでもない。

    今、この文書の真偽に焦点が当てられ、この点についての当時の次官の発言まで飛び出している。

    官房長官が「怪文書のような文書」と言ったので、そういう流れになったのだろうが、本来、文書の真偽は本質的な問題ではない。問題はこれをもって加計学園の獣医学部新設の判断を不当に歪めたかどうかだ。

    仮にこのような発言があったとして、この言葉だけを切り取って議論することは適当ではない。どういう状況での発言かを考えるべきだ。言葉は状況の中で意味を持つ。

    状況はこうだ。国家戦略特区で規制緩和を進めようとする内閣府が規制緩和に抵抗する文科省を説得して実施させようとした。それまでの特区制度では、規制官庁の抵抗に会って、なかなか規制緩和が進まなかった。そこで、新たに仕組みに代えて、内閣府が規制官庁と交渉する仕組みにしたのだ。岩盤規制をドリルで打ち砕こう、と発破をかける官邸の意向を受けて、内閣府の担当者も抵抗勢力の役所と闘う意気込みで交渉する。そういう役所同士の激しい交渉の場では、担当者同士のやりとりの中で、勢い余ってこういう言葉を発することは、霞が関の官僚ならば容易に想像できる。

    私も役所同士で交渉していて、相手の役所の担当者に対して、苛立ちからこの手の言葉を発したこともあったものだ。民間企業においても社内で事業部同士の調整の話し合いで「社長の意向だ」という言葉を思わず発する場面もあるのではないだろうか。

    しかしそう言われたからと言って、まともな官僚はひるむものではない。単に役所同士の交渉の場でしばしば飛び交う、昔からよくある「脅し言葉」の一つだ。文科省は内閣府の担当者のこの程度の言葉で、次官まで圧力を感じるような情けない役所なのだろうか。私にはそうは思えない。

    仮にそうであるならば、おかしいと判断した次官は、即座に官邸に対して確認し、筋を通そうと説明するのがトップとして当然の対応ではないだろうか。それができるのが次官であり、それをすべきなのが次官である。それをせずに、今になって「歪められた」と公に発言する当時のトップの姿を文科省の官僚たちはどんな思いで見ているだろうか。

    本質的な問題は、この言葉によって本来あるべき意思決定が歪められたかどうかである。

    52年ぶりの獣医学部の新設だという。既得権から長年獣医の数を増やさないようにしてきた強固な岩盤規制だったのだろう。これだけでなく、成田市における医学部の新設も30年ぶりに国家戦略特区の制度で認められた。構図は同じだ

    このような既得権を打破する規制緩和の動きに対しては、規制を死守したい者にとっては「意思決定が歪められた」ということなのかもしれない。ならばその意思決定の内容の妥当性こそ問題の本質である。

    本件は民主党政権下でも進めようとした規制緩和案件であった。またメディアも抵抗勢力を排して規制緩和を進めるためには内閣のリーダーシップが必要と説いていた。

    そうしたことも含めて、本来国会でこの意思決定の妥当性をきちっと議論すべきなのだろう。これまでそれをしてこなかった怠慢こそ問われるべきではないだろうか。

    さらに厳しく問われるべきは、トップ官僚の在り方だろう。内閣人事局ができて官邸から人事権を振りかざされた官僚が委縮しているとの指摘もされている。そういう面もないわけではないだろうが、あまりそれを過大に考えるのもどうだろうか。霞が関には未だ気概を持った多くの官僚たちがいるのも事実である。彼らはきっとこう思っているだろう。

    「俺たちはこんな情けない官僚ではない!」

  • 2017年05月26日 [ コラム ]

    米国抜きTPPを巡る日本の戦略

    先般、米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)の閣僚会議で、閣僚声明がまとめられた。内容を見ると、取りまとめはどうやら日本が主導したようだ。

    前回3月に開催されたチリでの閣僚会合では、米国の離脱を受けて、TPPが方向性を見失って漂流しかねない危機的状況であった。日本も国内では「米国抜きTPPTPP11」への慎重論もあって、スタンスを決めかねて様子見だった。

    ところが4月になって官邸主導で米国抜きTPPに決断してから、大きく潮目が変わった。豪州など積極派と連携を取りながら、失いかけたTPPの求心力回復に奔走した。もちろん参加国の意見には依然として隔たりがあるものの、今後の方向性を示す第一関門としては及第点だろう。

    日本が主導した閣僚会合声明に3つの狙い

    今回の声明には随所に日本主導の戦略が盛り込まれている。

    第一に、「早期発効」という目標を参加国間で共有して結束を維持したことだ。プライオリティーを「早期」というタイミングに置くことによって、今後の選択肢は自ずから絞られてくる。結果的に、協定の大幅見直しや、中国などを参加させての再交渉といったかく乱要因は封じることができる。

    今後のロードマップとして、「11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに検討作業を完了する」と、設定できたことも大きい。ポイントは来年秋の米国の中間選挙だ。それまでに受け皿を作って、米国にとっての選択肢に仕立てておくことが何としても必要となるからだ。それまでの間、参加国の閣僚がそろう機会もそう多くない。そういう意味でいいタイミング設定だろう。

    第二に、「将来はTPPの高い水準のルールを受け入れることを条件に、TPPの拡大する」ことを盛り込んだことも重要だ。中国が参加するならば、この条件をクリアすることが必要となるが、当面無理だろう。むしろタイ、インドネシアなど参加を希望している国々を取り込むことが大事だ。

    TPPの目的は、アジアの成長市場の活力を取り込むためにルールを整備することにある。タイ、インドネシアなどは市場規模も大きく、日本企業をはじめサプライチェーンが展開しており、参加していけば将来における経済的実利は大きい。米国企業にとっても同様で、米国復帰の誘因にもなる。

    第三に、「米国の復帰を促す方策を検討」することを確認したことも重要だ。米国市場へのアクセスと引き換えに国内規制の改革を譲歩した、というベトナムなどの参加国は米国抜きのTPPに慎重という。しかしながら、米国抜きTPPといっても、それは単にプロセスに過ぎない。あくまでも目的は「米国が参加したTPP」である。

    ならばその可能性をどう見るか。

    米国が復帰する可能性はあるのか

    もちろん、トランプ政権にとってTPP離脱は選挙公約なので、今すぐ復帰するはずはない。ライトハイザー・米通商代表部(USTR)代表やロス商務長官もTPP離脱を前提とした二国間交渉をするのが仕事で、今その成果を挙げることが求められている立場の人たちだ。従って、その言葉だけで将来の在り方まで判断するのは早計だ。

    これまでの米国の歴史を振り返っても、米国はいずれ、TPP離脱という方針を修正してくるだろう。それは根拠なき期待ではない。米国から見て経済合理性があるからだ。模倣品対策の知財、銀行・小売りの参入、公共事業への参入など、産業界のビジネスチャンスを拡大するための交渉を、これから二国間で進めていくことになれば、莫大な時間とエネルギーが必要になる。米国商工会議所もそのことを理解して、TPP離脱には反対の立場だ。

    今、国務省、財務省などトランプ政権内の経済外交の戦略を支える政府高官たちが不在の状況だ。彼らがTPPの戦略的メリットを理解し、米国内の産業界から復帰の強い要望を受ける日もいずれやってくるのではないだろうか。

    しかし米国の復帰をじっと待っていても、その期待を実現できるわけではない。米国が復帰せざるを得ない状況を、能動的に作っていかない限り復帰はあり得ない。

    閣僚声明で「米国の復帰を促す方策を検討」することが盛り込まれた意味もそこにある。同時に、各国と連携して、官民それぞれ米国への働きかけを強めていくべきだろう。参加国からは米国の復帰に向けて日本に期待する声も上がっている。今後、日米関係においても日米経済対話での米国の風圧は高まるであろうが、日本のぶれないスタンスと覚悟が重要だ。

    TPP11の本質は米国に対する“防波堤”ではない

    それに関連して、日本のメディアでは、「TPP11の意味は日米二国間での米国の対日要求をけん制する、いわば防波堤だ」とする論がある。確かにそういう効果もあるかもしれないし、国内のTPP11慎重派を説得するためにそう言われているようだ。しかし「防波堤だ」と明示的に言っても、当然相手の米国が警戒するだけで、その結果、防波堤にはならないものだ。

    むしろTPP11の本質的な意味は、目先の駆け引きではなく、米国に対して将来の選択肢を提示することにある。そこを見誤ってはいけない。

    これから11月までの半年が正念場だ。裏では他の参加国に対して中国による揺さぶりもあるだろう。日本もTPPに絡めて、参加国にさまざまな支援の手を差し伸べて、中国の揺さぶりに動じないよう説得する外交力も必要になってくる。

    TPPRCEPは「統合」より「使い分け」をすべき

    今回、TPP11の閣僚会合と前後して、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会議も開催された。

    RCEPの構図はこうだ。TPPに対抗してアジア諸国を取り込むことに注力する中身は二の次の中国。他方で知財や電子商取引などのルールづくりという中身を重視する日本。その両者の綱引きの場となっている。早期合意をしたい東南アジア諸国連合(ASEAN)を中国が取り込むことが懸念されるが、ルールなしの合意は単なる勢力圏争いの道具に堕することになるので、妥協すべきではないだろう。

    TPPRCEPは、いずれも究極の目的はアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現で。それへのアプローチとして並存して位置付けられている。

    これらをさらに統合すべきだとの論者もいる。観念論としてはともかくも、それぞれの具体的中身を見れば大いに疑問だ。統合の結果、TPPで既に合意された質の高いルールの中身が薄まることにもなりかねない。

    中国には、RCEPとの統合によってTPPの合意内容の希薄化を狙う意見もある。TPPを中国包囲網と捉える中国としてはあり得る考えだろう。しかしそれは質の高いルール作りで主導する日本の戦略目標には明らかに合致しない。

    大事なのは、相手国の経済の発展段階に応じて、TPPRCEPの間でルールの濃淡をつけた使い分けだ。今回のRCEPの共同声明でのキーワードは「協力」だ。TPPと違って、RCEPに参加する途上国の中には、先進国の支援で国内体制を整備をしなければルールを守れない国も多い。単なる観念論ではなく、そういう実態を踏まえた議論を主導するのが日本の役割だ。

    中国の受け止め方がどうであれ、TPPは決して中国包囲網ではない。狙いの第1は、米国にアジアに目を向けさせること。そして第2に、将来中国に質の高いルールを受け入れさせるためのステップである。その本質を誤解してはならない。

    そして、まずTPPを固めることで、RCEPのルールの中身をTPPに少しでも近いレベルにまで持っていくことを目指す。そういう連動性を視野に置いたダイナミックな戦略が日本の戦略であることを理解すべきだろう。


    30年前のAPEC創設時を彷彿とさせる

    このようなダイナミックな通商戦略の展開は、約30年前のAPEC創設時を思い出させる。

    当時、国際的な経済システムは大きく変革しつつあった。後に欧州連合(EU)として結実する欧州統合に向けた動きと、それに対抗する北米自由貿易協定(NAFTA)誕生に向けた交渉の動きがそれだ。それは日本とオーストラリアに危機感を芽生えさせ、両国が連携して推進したのがAPECであった。それと同時にAPECには、EUNAFTAが閉鎖的にならないようけん制しながらも、米国の関心をアジアに向けさせるという狙いもあった。

    今、当時のように国際経済秩序が大きく流動化しつつある中で、30年前に繰り広げられたダイナミックな通商戦略を想起させる。今回、TPP11への道筋を付けたのが、各国がそのAPECの場に集まった機会であって、しかも日豪の連携がカギであ ったことは歴史の巡り合わせだろうか。

  • 2017年05月11日 [ コラム ]

    米中のパワーゲームに翻弄されるのか?文・新韓国大統領

    次期韓国大統領に文在寅氏が決まった。メディアでは対北融和、対日強硬路線の新大統領で、北朝鮮問題や日韓関係はどうなるか注目されている。同じ左派政権のかつてのノムヒョン政権と対比され、そこから今後を類推されることも多い。日本への影響も、反日から慰安婦問題の再燃を懸念する向きもある。

    しかし取り巻く国際情勢は全く異なる。問題はもっと深刻なところにある。

    新大統領を待ち受けているのは米中の朝鮮半島を巡るパワーゲームだ。その新大統領を起点として日韓関係の行方を論じてもあまり意味がない。

    韓国大統領選を見越した米中の駆け引き

    米中の北朝鮮を巡る最近の駆け引きは、韓国大統領選の結果を見越した動きであった。

    トランプ政権は韓国大統領選までの間に、THAAD配備を完了するとともに、軍事行動もちらつかせながら中国への圧力を最大限強めて、北朝鮮の核・ミサイルのこれ以上の進展を阻止しようとする。そして韓国大統領選直前になると、新韓国大統領の対話路線の前に、機先を制して北朝鮮との接触を図る。

    他方、中国の思惑はどうか。

    中国は米国の圧力に応じた姿勢を示しながら、対北融和的な韓国大統領が選出されるのを待っていた。そうなれば、その後は米国を揺さぶりやすくなる。そうしながら秋の共産党大会まではしのいでいく。米国との大勝負は共産党大会で国内基盤を固めてからだ。

    まさにその思惑通りの展開になりつつあるようだ。

    朝鮮半島の大変革期か?

    問題はこれからの展開だ。

    私は先般の米中首脳会談について、4月10日の記事でこのように指摘した。

    「中長期的には、朝鮮半島の将来像をどう描くかという、本質的な問題に米中は向き合うことになるだろう。朝鮮半島を統一して非核化、中立化する考えが出てきてもおかしくない。その時深刻な影響を受けるのが日本である。」

    最近、米中それぞれでの学者、識者の中にもこのような論調が期せずして同時期に出てきているのも注目すべきだ。親北、反米の韓国新大統領を迎えて、ますますこの指摘が現実味を帯びてくる可能性が高くなるのはないだろうか。

    そしてこれからの日本に必要なのは、そういう事態を想定した備えではないか。

    そう指摘する背景を見てみよう。

    第1に、北朝鮮の核は米国への直接的脅威にもなる可能性が出てきて、米国にとっての深刻度はかつてとは比較にならない。自国第一主義を取るトランプ政権としては、自国への脅威さえ取り除かれれば、他は譲歩する可能性もある。トランプ政権の対外政策の優先度は中東であって、自国への直接的な脅威がなければ、基本的には北朝鮮ではない。

    中国はその足元を見て、取引をするチャンスと思ってもおかしくない。米国に対して朝鮮半島の非核化、中立化のカードを切ってくるだろう。そして米韓同盟を揺さぶり、在韓米軍の撤退というシナリオを描いている。

    トランプ大統領の発言から、米中は「北朝鮮の核」と「通商」を取引したと言われている。しかし中国の意図はそこにはない。中国が取引する対象は「通商」ではなく、「朝鮮半島」だろう。

    トランプ大統領が、米中首脳会談で習近平主席から「韓国は歴史的に中国の一部だった」と説明を受けたと語ったことが大きな波紋を起こしている。この発言の本質的意味は、北朝鮮問題をトランプ大統領が持ち出した時、習近平主席は朝鮮半島全体の問題を持ち出していることにある。

    第2に、米国にとっての韓国の価値も大きく変化している。先日、ティラーソン国務長官が「韓国は同盟国ではなく、「重要なパートナー」」と発言したことに韓国内に衝撃が走ったが、恐らく米国の本音だろう。韓国には米国から見捨てられるとの危機感さえある。

    今後、韓国が反米になればなるほど、朝鮮半島を巡る米中間の「大きな取引」は現実味を帯びてくる。米国にとっての韓国、中国にとっての北朝鮮がそれぞれお荷物となって、米韓同盟、中朝軍事同盟が形骸化していくプロセスにあるからだ。

    そしてそれは経済面からも後押しされる。

    中国の台頭、影響力の大きさは当時と比較にならない。韓国経済の対中依存度は圧倒的で、貿易の4分の1、中国人観光客は8割を占める。THAAD配備での中国による経済報復で韓国経済が悲鳴を上げる結果になっていることを見れば、そのインパクトの大きさをうかがい知ることができる。

    今後この傾向は中国市場の成長とともに拡大こそすれ縮小することはない。また文大統領にとって疲弊した国内経済の立て直しが優先課題である。そのためにも経済的に中国シフトにならざるを得ない。中国のパワーゲームでのポジションが強くなる所以だ。

    日本はどういう備えが必要か

    そうした中で、日本は当面はこれまでどおり「日米韓の連携」の重要性の旗は掲げ続けるべきだが、米中のパワーゲームの行方次第では、いつまでもそれを言っていればいいわけではない。

    米韓同盟は日本が直接大陸と向き合うことを避けるための、いわば「盾」であった。トランプ政権によってその米韓同盟が将来流動化しかねない中で、それがあることを前提とした、これまでの日本の安全保障の在り方を根本的に考え直す必要に迫られることも想定しておくべきだろう。

    また日本にとって、慰安婦問題での日韓合意は、米国の事実上の仲介があってこそ成立したものだ。これは「日米韓の連携」を維持するために、その障害になる問題を除去するとの要素が強い。日韓双方の譲歩はそうした米国の意向に大きく影響される。今後その前提が崩れた場合、双方に譲歩の理由を見出しうるのだろうか。

    問題は単に韓国が対日強硬路線かどうかだけではない。米国の対韓戦略によって大きく影響され、問題が再噴出する危険性をはらんでいる。

    さらに日本企業も将来の韓国リスクを考えるべきだろう。

    日本企業はこれまで韓国進出や部品供給など日韓の間の緊密なサプライチェーンの形成など、グローバル戦略の中で韓国を位置づけてきた。その前提として、価値観の共有、安全保障の連携などを背景とした安定的な環境が大きかった。その前提が大きく揺らぐ可能性もある。

    仮に、今後中国の影響力が強まった時にどういう影響が出るか。一部では将来の技術流出を懸念する向きもある。

    日本企業にとって韓国投資の在り方、韓国企業との連携の在り方の再検討も必要になる事態もあり得るのだ。

    今起こっていることを朝鮮半島の大変革期の入り口として捉えて、新韓国大統領を見るべきだろう。日本は経済、安全保障いずれの面でもこれまでの延長線で韓国を考えていればよいわけではない。