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  • 2011年07月15日 [ コラム ]

    福岡市新ビジョンに向けての提言インタビュー

    福岡市が「アジアのリーダー都市福岡」として新ビジョンを策定されようとしています。

    大変熱心な取り組みで、その一環で、先日わざわざ福岡から遠路お越しいただいてインタビューを受けました。ご参考までに掲載します。http://www.urc.or.jp/vision/documents/prof_hosokawa.pdf

  • 2011年07月08日 [ コラム ]

    エネルギー政策は複眼的に  (7月8日毎日新聞掲載)

     原発の再稼働を認めるか、原発を抱える地方自治体が揺れている。仮に再稼働できないと今後1年で国内発電量の3割が喪失する。これは浜岡原発の停止要請で当然予想された事態で、総理の責任ある対応が不可欠だ。

     

     これまでの原発政策は抜本的に見直し、同時に再生可能エネルギーへのシフトを最大限加速すべきだろう。そもそもエネルギー政策は安全性の確保を大前提として、複数の連立方程式の解を求めるものだ。 責任ある政策にはそうした複眼的視点が必要である。

     

    第1に、エネルギーの安定供給。これまでは石油危機のような海外にエネルギーを依存するリスクを前提に考えてきた。今後は災害など国内有事にも強い供給体制も必要だ。大規模集中電源に依存するリスクは今回体験した教訓である。「分散型」がこれからのキーワードだ。

    そういう観点で、各地で取り組みが始まっているスマートシティに注目したい。この地域でも愛知県豊田市で太陽光発電付き住宅、電気自動車、スマートグリッドなどを結びつけた社会実験がある。今後これらも点(都市)から面(地域)への広がりが重要になる。場合によっては、県境も越えて「グレーター・ナゴヤ」での連携も考えられる。

    例えば、この地域の強みである高速道路網を活用してはどうだろう。高速道路で太陽光発電をし、サービスエリアで電気自動車の充電を行い、それらを直流超電導でつなげる。その結果、サービスエリアが自立電源を持った災害拠点にもなる。海外にもアピールできる、夢のあるプロジェクトで元気になってもらいたい。

     

     第2に、経済性。日本の電力料金は国際的に割高だ。今後、原子力を火力発電で代替すると2,3割上がるという。再生可能エネルギーだとさらに割高になる。もちろん技術開発と量産化でコストは下がるが、あくまで将来への「期待」である。電力の供給不安と電力コスト問題に直面し、厳しい国際競争にさらされている企業経営者からは悲鳴が聞こえてくる。海外移転による産業空洞化の危機は、今そこにある「現実」なのだ。政策にはこうした「時間軸」も欠かせない。高い法人税、FTA(自由貿易協定)戦略の出遅れ、生産拠点の分散化圧力など国内立地に逆風が吹く中、日本経済を支えるこの地域のもの作りを維持できるか。その正念場に来ているとの危機感が必要だ。

  • 2011年02月15日 [ コラム ]

    中国の環境ビジネス

     中国は急速な経済成長の負の側面として、環境問題が最大のテーマになっている。地球温暖化の原因とされるCO2についても米国を抜いて世界1の排出国になっている。河川の水質汚染や大気汚染も有名であり、まさに「環境汚染大国」のレッテルをはられている。
    他方、中国当局の取り組みも真剣さを増している。第11次五カ年計画では、省エネルギー、環境汚染物質の削減について拘束力のある目標を設定したことから、電力供給の制限という荒業の手段もあって、大きく前進した。

    このような潮流の中で、環境ビジネスも中国では成長分野として注目される。問題はそういうビジネスチャンスを日本企業がどこまで掴んでいるかである。

    例えば、SO2排出削減に必要な肺炎脱硫装置がある。日本で70年代に導入された技術であるが、中国では近年急速に普及して、石炭火力の7割以上導入された。ポイントは価格である。中国企業によって安価な装置が開発され、低コストで導入されている。他方で日本企業はシェアの1割程度にとどまっている。導入コストを考えると、中国でこれほど急速に普及するとは予想し得なかったという。中国市場のニーズに合わせた安価な技術を提供できなかったことも要因の一つだ。

    もちろん成功例もある。セメントの排熱を利用した発電がその一つだ。日本で実用段階にある技術を中国で実証運転してみて、その省エネ効果の素晴らしさを中国側に実際に見せて、普及を図った、今では中国全土のセメント工場で導入されている。

    中国の環境ビジネスの機会をつかむための効果的なアプローチが問われている。

  • 2011年01月27日 [ コラム ]

    第2の空洞化

     リーマンショック後、深刻なものづくり産業の空洞化に直面している。90年代に急激な円高に対応して起こったのが第1の空洞化であった。そして今回が第2の空洞化であるが、その深刻度は比較にならない。関西の家電産業を支える下請けであった東大阪。機械金属のメッカ、東京・大田区。これら東西の両横綱では、体力のあるところは海外移転、ないところは廃業が相次ぐ。その結果、工場数もかつての半分以下だ。縮小するパイの争奪戦で持続不可能とわかっていながらもダンピング受注を繰り返す。

    生き残りの解は、「横の連携」と「コア技術」しかない。燕市や岡谷市などで見られるようなそれぞれの強みを持ち寄ったネットワーク力。そしてよそに負けないアナログ技術だ。ミクロン単位の穴を自在にあける技術、円筒・円錐の研磨技術、特殊熱処理技術などデジタル化できない技術を磨き、そしてこれらをネットワーク化することで競争力が生まれる。

    東大阪では人工衛星ビジネスを開拓しようとし、大田区では羽田空港の国際化を契機に「モノづくりのハブ機能」を目指している。自らの将来像を描くことができるか。地域、国家の財産である、日本の基盤技術の将来を左右する正念場だ。

  • 2011年01月22日 [ コラム ]

    シンガポール躍進の秘密は何か(2011.1.10)

     先日シンガポールに行って、国際競争力NO1の秘密の一端を垣間見ることができた。

     世界のハブ空港、チャンギ空港では乗り継ぎ客のための、空港内の簡易ホテル、シャワー設備のあるラウンジ、無料市内観光のサービスにまず感動。世界の空港のサービスランキングでトップの空港だけのことはある。これで乗り継ぎ客も含めて世界のビジネス客を引き付けている。
    空港からすぐの市内では、開発地域にある地上165mの世界最大の観覧車、F1誘致のコースに観光客が集まる。
    中国などの富裕層は最近オープンしたカジノ総合リゾートで楽しみ、高層ビルをつなげた空中庭園にあるプール、ジャグジーでくつろいでいる。まさに話題に事欠かない。
    街全体を舞台に、集客のためのエンターテイメントを繰り広げている。これで月100万人の観光客を引き付けているのだ。国際会議の開催件数もアジアNO1。国際見本市も目白押しだ。
    国際会議、国際見本市の誘致はこうした仕掛けとパッケージで総合戦略が必要であることを改めて痛感させられる。どこかの国のような縦割り行政では出てこない発想だ。

     ビジネスではバイオ産業、水ビジネスの世界の拠点に。グローバル企業は次々とアジアの地域統括本部をここに置く。
    そもそも低い法人税(17%、日本は40%)がさらに減免されるのだ。P&Gやノキアなど日本からシンガポールにアジア拠点を移すグローバル企業も後を絶たない。
    人口500万人、東京23区の面積で資源のない都市国家が官民一体となって、あたかも1つの企業のような効率的なシステムで、国際的競争力を磨いている。

    常にその目は外に向いているのだ。その秘密は何か。

     それは危機感とエリートの存在だ。
    資源もエネルギーもない小国が存立していくためには国内的な政争にかまけている余裕はない。
    それよりも優秀な官僚組織によって国家を効率的に経営することにより国際的な競争力を高める。そして優れたシステムは優れた人材によって作られるとの信念だ。
    そのために徹底したエリート養成をする。エリート官僚は35歳で年収2500万円の高待遇だそうだ。そうして優秀な人材を国家の経営のために集めている。官僚たたきなど無縁だ。
    その代わり、厳しい規律と使命感が求められるのは言うまでもない。
    海外ビジネスで稼ぐ国策会社は高級官僚の第2の活躍の場となっている。
    天下りにも「いい天下り」と「悪い天下り」があるが、これらを十把一絡げに糾弾するのではなく、活用できる人材は活用する。
    そして国内では足らざる優秀な人材は海外から引き抜いてくる。
    2000億円以上もかけて作ったバイオ産業のメッカ、バイオポリスで研究する研究者2000人の半数は海外からヘッドハンティングした人材だ。

    どこかの国の対極だ。内向き、嫉妬、政争からは競争力は生まれないことを教えてくれる。

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